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◆2004年度の国民医療費 最高の32兆一千億円となる◆
(厚生労働省発表)
二年連続で過去最高を更新したと厚生労働省が発表した。
医療費のかさむ高齢者の増加や、医療技術の高度化で一人当たりにかかる
費用が増えたことが主因。
国民所得に対する割合も8.89%と過去最高で、医療費の拡張傾向が改めて
浮き彫りになった。
04年度の国民医療費は前年度に比べて5737億円(1.8%)増えた。
このうち65才以上の医療費が全体に占める割合は、51.1%と前年度から
0.7ポイント上昇した。
厚生労働省では「人口高齢化による国民医療費の押し上げ効果は4千8百億円
程度」とみている。
一人当たりは20年で2倍に!
高齢者人口が増えるほど医療費は加速度的に増加していく。
一人当たりの医療費が、一般的に高齢者ほど多くなるからだ。
04年度では、64歳以下が15万2千7百えんなのに、65才以上は
65万9千6百円で、その差は4.3倍。
75才以上の「後期高齢者」では81万5千百円にのぼった。
医療技術の進歩で同じ病院の治療でも費用がかさむケースが増えていることも
医療費増加の一因だ。一人当たりの医療費の平均額は25万1千5百円。
10年前の1994年度と比べて4万5千円も増え20年前の84年度からは倍に膨らんだ。
年齢別にみても、すべての層で増え続けている。
一人当たりの医療費の増加傾向は統計を取り始めた54年度以降、一貫して続いている。
医療の高度化に加え、治療が長期にわたり医療費がかさみがちな糖尿病など、
生活習慣病患者が年々増えていることも要因とみられる。
国民医療費の国民所得に対する割合は前年度に比べて0.09ポイント上昇、財政や家計の
圧迫要因になっている。
◆2005年度は1兆円増も◆
厚生労働省は国民医療費について「医療費抑制に向けた制度改正がなければ年間1兆円ずつ
増える」と見込んでいる。
04年度は医薬品の公定価格(薬価)の引き下げで約3千百億円の医療費抑制効果が、
あったため、全体で5千7百億円の増加にとどまった。
しかし制度改正がなかった05年度では、国民医療費の速報値ともいえる概算医療費が、すでに
前年度比9千7百億円増の32兆4千億円に膨らんでいる。
これに全額自己負担分なども加えた上で来年公表される05年度国民医療費は、1兆円台の
増加になる可能性が高い。
政府は06年度から、医療費の抑制を最大の目的とする医療制度改革に着手した。
医療保険制度の再編や新たな高齢者医療制度の創設、40才以上の健康診断義務付けを
はじめとする生活習慣病予防の強化などが柱だ。
これからの改革の実効性をどれだけ高められるのかが、今後の大きな焦点となる。
医療費の患者負担を引き上げた前回の制度改正では、実施初年度02年度に国民医療費が
0.5%減ったものの、抑制効果はすぐに剥げ落ち、翌年度には増加に転じた経過がある。
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